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只今から、ロータリーに関わる私の存念を述べさせていただきます。ロータリーの基本理念は友情と奉仕であります。ロータリークラブは単なる仲良しクラブだけであってはなりません。しかし限りなく気持ちの良い仲良しクラブを目指すことは当然であります。これを形成するのは友情であります。そして、ロータリーの究極の理想は世のため、人のために尽くすこと、すなわち奉仕であります。
又、ロータリアンにとって必須の条件は職業人であり、自らがその職業に誇りを持っていると言うことであります。 友情によって結ばれ、他人への奉仕を理念とし、自分の職業に対し責任と誇りを持つのがロータリアンであります。
最初に職業の意義について考察を加えたいと思います。 日本の有名な陽明学者安岡正篤先生は「人間は皆職業を持っている。職業には二つの意味を持っている。その一つはそれによって生活を営む手段とすることである。しかし、これだけでは尊い意味はない。職業の大切なことは、それが生活の手段であることの他に、その職業である仕事を通じて何等かの意味に於いて、世のため人のためになると言うことである。これあるによって職業は神聖であるということができる」といい、経済学者であり理想主義者である河合栄次郎教授は「職業は食べるために必要であるのみでなく、之が同胞への奉仕の道である。そして職業に精励することが我々を成長せしめる」といって居ります。職業奉仕という言葉の内容がわかりますし、正当な職業なくして正当な社会人になることは出来ないということも理解できるのであります。
友情について河合教授は「友達も亦師弟と同じように互いの石を以って選択される。しかし友達は師弟の如くに上下関係を以って立つのでなく対等の立場で結ばれる。そして友情こそ個性を以って結ばれる愛だと云える。人間として友を持つことは我々の恥辱である。彼が何であるかを知ろうと思うなら、彼が友を持つかどうかを見るがいい。持てる友はいかなる友であるか見るがいい」と云って居ります。
そして友情の微妙な関係について郷土の産んだ詩人萩原朔太郎は「友情の成立は人の欠点について目をつぶり決してそれを言わない
---友の目の前でもまたはその陰でも---
ということ契約されている。友情を学ぶ者は最も困難な一つの修養、沈黙の忍耐を学ぶのである。しかも彼の偉いことはそうした秘密すらも沈黙して墓石とともに埋葬したという歴史であった。それ故にこそ人々は死んだ友人の墓場の前では帽子を脱ぎ無限の感慨に耽るのである。」といって居ります。
次にロータリーの基本理念であります社会奉仕、国際奉仕に関して私の考えを申し上げます。西欧では、個人主義とは各個人が正しく成長し、立派な人間になれば、その個人の集まりである団体も国家も良くなるという考え方であり、そもそも団体も国家も個人が集まって作るものであるという思想、所詮自由民権思想が定着して居ります。イギリス革命、フランス革命、ロシア革命は民衆が立ち上がって政府を倒し、時の統治者の首を刎ねるという民衆も統治者も血を流して獲得した自由民権成立の歴史であります。日本人は団体の一員として守るべき規範が制定され、教育を受け、個人はすべて団体、究極的に国家の為に身を捧げることを当然のこととして強く要求されて参りました。
個人主義というイデオロギーに基づき、それぞれの個人が団体や国家を作り、それらの団体や国家は自分達のものであるから生命をかけて守るという西欧的自由民権思想と、始めに国家有りきで、お上に統治されるのが当然であるという日本的な思想との違いが見られ、それぞれの精神的風土の大きな特徴となって居ります。個人主義の国でお互い同士が助け合い極く自然に社会的相互扶助の週間が発生し定着している国に創設されたロータリークラブが、徳目の制定、教育は全体主義的であり乍ら日常生活では大変個人中心的に生きてきた日本という国にそっくり移植されてきたのであります。ここに、日本に於けるロータリークラブのとらえ方についての問題があろうかと思われます。
以上申し上げました様にロータリーは親睦、友愛に始まり、職業奉仕からの社会奉仕に広がって国際奉仕になったものであります。
ご静聴有難うございました。
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